イタリアで「Cu cù」や「Cucco」などの名で呼ばれるカードゲームのために作成されたデッキです。発行元は Masenghini。
ゲームそのものはフランスが発祥のようですが、専用のデッキが作成されたのはイタリアが最初だと考えられています。このゲームはその後、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、スウェーデン、デンマーク、ノルウェーなどで、少しずつ形を変えながら普及しています。
また、日本でもクランペールというメーカーが「ククカード」の名でデッキを作成・販売しています。
当デッキは、20種のカードが各2枚ずつ、計40枚という構成となっています。通常のプレイングカードのようなスートは存在しません。
また、20種のカードの内15枚はI~XVまでのローマ数字が記載されていて、残りの5枚がローマ数字の記載されていない絵札なのですが、後者の方がランクが下の扱いとなっている点も変わっています。「Matto」が最低位で、「XV: Cucco」が最高位のカードとなります。
№ |
名称 |
– |
Matto(愚者) |
– |
(ライオン) |
– |
Mascherone Manco Di Secchia(サテュロスの顔?) |
– |
Secchia Meno Di Nulla(バケツ) |
– |
Nulla(何もないの意) |
I~X |
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XI |
Fermatevi Alquanto(宿屋) |
XII |
Gnao(猫) |
XIII |
Salta(馬) |
XIV |
Hai Pigliato Bragon(バラを持つ兵士?) |
XV |
Cucco(カッコウ) |
なお、ライオンのカードは元々のゲームにはなかったのではないかという説もあります。Masenghini に先立ち Solleone(ソル・レオーネ、太陽の獅子の意)というカードメーカーが同様のデッキを発行しているのですが、このメーカーのシンボルを描いたカードがゲーム用のカードとして取り込まれてしまったのではないかというものです。
個人的にはかなり可能性の高い説ではないかと考えています。イタリア以外の国のデッキでは、ライオンに相当するカードは見当たりません。
追記:
「Nulla」をゼロだと考えても問題ありませんが、ローマ数字にゼロは存在しません。また、蛇足となりますが、プログラミングにおいては、ヌル(Null)とゼロは明確に区別されます。
追記2:
このゲームの詳しい歴史は分かっていませんが、1770年~1780年頃にベネチアで作成されたと思われるデッキがフランス国立図書館に保管されています。同デッキにはライオンのカードは存在しません。
また、1981年に Solleone により発行されたデッキは、1820年~1846年頃にミラノで Gumppenberg が発行したデッキの復刻版です。Gumppenberg のオリジナル版にライオンのカードが存在したのかどうか知りたいところです。
追記3:
カードを眺めていたら、「バケツ」を真横から見たら「サテュロスの顔」に、真上から見たら「Nulla」に見えるんじゃないの?という気がしてきました。はい、個人の感想です。(笑)