Ancien Tarot de Marseille

グリモー(Baptiste Paul Grimaud)が1930年に発売したこのタロットデッキが大きな成功を収めたことが、「マルセイユ版タロット」の名を世に広めました。

ポール・マルトー(Paul Marteau)がニコラ・コンヴェル(Nicolas Conver)の版をリメイクしたものだと言われていますが、ベースにしたのは「ブザンソン版」だったという説もあります。


Grimaud


Grimaud

伝統的なタロットの色使いを大きく変えてしまったと批判されることもありますが、今でもマルセイユ版タロットの代表的な存在であることは間違いありません。

ただ、個人的にも嫌いなデッキではないのですが、カード18(XVIII)「LA LUNE:月」だけはもう少しなんとかならなかったかと思ってしまいます。

追記:
使用する色数が減らされたのは、機械印刷が導入された当初の技術的な制約が原因であったようです。

i Tarocchi di Marsiglia

De Vecchi というイタリアの出版社から発行されたマルセイユ版タロットと解説書のセットです。カードのサイズは 8cm×16cmとかなり大きめです。


De Vecchi


De Vecchi


De Vecchi


De Vecchi

カード12(XII)の「吊された男」は、縛られているのは片足だけですが、「Tarocco Classic」やスイスで発行されたマルセイユ版タロットに描かれた両足を縛られた「吊された男」とよく似ています。
また、杯のエースに花が生けられているのは、ピエモンテ系タロットの影響だと思われます。

追記:
私は保有していませんが、Il Meneghello によって作成された「Classico Tarocco di Marsiglia」という復刻版タロットの絵柄と類似しているみたいです。

Tarocco di Marsiglia Svizerra (22 Major Arcana)

こちらは Il Meneghello によって作成された復刻版タロットの一つです。ベースとなっているのは、Jean Proche が1804年にスイスで発行したマルセイユ版タロットだということです。


Swiss


Swiss

先に紹介した「Tarocco Classic」と同様に、カード12(XII)で「吊された男」が両足を縛られ、横を向いた状態で描かれています。
「Tarocco Classic」は Claude Burdel の復刻版だと言われていますが、むしろこちらのタロットとの類似点の方が多いですね。

追記:
このタロットのカード7(VII)では「戦車」の前面に「JR」のイニシャルが記載されていて、元となる版の制作者は Jacques Rochias であると考えられています。
(Claude Burdel の版には「CB」のイニシャルが記載されています。また、「Tarocco Classic」ではイニシャルは記載されていません。)

追記2:
両足を縛られた「吊された男」のカードは、ケイトリン・ジョフロイ(Catelin Geofroy)のデッキからコピーされたのではないかと考えられているようです。1557年にリヨンで発行された、現存するフランス最古のタロットデッキです。ただし、マルセイユ版タロットとは異なる点が多いです。

Tarocco Classic

このタロットデッキは、Claude Burdel によって作成された木版タロット(1751年)の復刻版という設定になっていますが、実際にはオリジナルと異なる部分が少なくないようです。


Classic


Classic

全体的に絵がちょっと雑というか、素人っぽい感じがしますね。色使いもかなり独特です。

特に目を引くのが、カード12(XII)で「吊された男」が両足を縛られ、横を向いた状態で描かれている点です。
Claude Burdel のオリジナルも含め、通常は縛られているのは片足だけで、もう片方の足が四の字のように交わっています。また、顔も正面を向いています。