Ambraser Hofjagdspiel (The Courtly Hunt Cards)

1440年~1445年の間に作成されたと考えられているドイツのプレイングカード(トランプ)の復刻版です。発行元は Piatnik。
現存する最古のタロットである「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」とほぼ同時期に作成されたオリジナル版は、56枚中54枚が現存しているとのことです。


Hofjagdspiel


Hofjagdspiel


Hofjagdspiel


Hofjagdspiel


Hofjagdspiel

カードのサイズは概ね 9.5㎝×15.5㎝とかなり大きいです。
鷹、鷺(サギ)、猟犬、ルアー(鷹狩りの訓練に用いる疑似餌)をシンボルとする4つのスートで構成され、それぞれ1~10の数札(10は旗)と4枚のコートカード(下官、上官、女王、王)が揃っています。

追記:
15世紀~16世紀のドイツのプレイングカードでは、多くの場合スートのシンボルはデッキのテーマによって決定され、非常にバラエティに富んでいます。

The Marziano Tarot

「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」より前に作成されたけれど現存しないタロットデッキを、残された手紙に記述された内容などから Robert M Place が再生しました。

オリジナル版は、ミラノ公爵のフィリッポ・マリア・ヴィスコンティ(Filippo Maria Visconti)の命により、1412年~1425年の間に作成されたと考えられています。


Marziano


Marziano


Marziano


Marziano

大アルカナ(16枚)には、ギリシャ・ローマ神話の神々が描かれています。小アルカナは、鷲、フェニックス、コキジバト、鳩をシンボルとする4つのスートで構成され、それぞれ10枚の数札と女王と王が揃っています。併せて64枚のセットになります。

追記:
大アルカナに描かれた神々は以下のとおりです。

名称 カタカナ表記
I Giove ユピテル
II Giunone ユーノー(ユノー)
III Pallas パラス(アテナの別名)
IV Venus ウェヌス(ヴィーナス)
V Appolo アポローン(アポロン、アポロ)
VI Nettuno ネプトゥーヌス(ネプチューン)
VII Diana ディアーナ(ディアナ、ダイアナ)
VIII Bacco バッコス(バッカス)
IX Mercurio メルクリウス(マーキュリー)
X Marte マールス(マルス)
XI Vesta ウェスタ
XII Ceres ケーレス(ケレス)
XIII Ercole ヘーラクレース(ヘラクレス)
XIV Eolo アイオロス
XV Daphne ダプネー(ダフネ)
XVI Cupido クピードー(クピド、キューピッド)

追記2:
Robert M Place によって再生されたタロットデッキは、かなりポップな感じに仕上がってます。これはこれで気に入っているのですが、実際のオリジナル版は「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」やドイツのプレイングカード「Ambraser Hofjagdspiel」のように、もう少し厳かな感じであったと思われます。また、おそらくカードのサイズももう少し大きかったでしょう。

追記3:
1425年は、フィリッポ・マリア・ヴィスコンティの娘、ビアンカ・マリア・ヴィスコンティ(Bianca Maria Visconti)が誕生した年です。オリジナル版は、彼女の誕生を祝う品々の一つであったと考えられます。

Ancien Tarot de Marseille (2)

グリモー版は以前にも一度掲載しましたが、それよりも古い版を入手したので改めてご紹介します。


Grimaud 2


Grimaud 2

1930年に発行されてから現在まで人気のタロットデッキで、何度も版を重ねた結果、色合いが多少変化しています。特に違いが目立つのが青系で、現在よりも薄く、空色に近い感じです。もしかしたら年月を経て色褪せただけなのかもしれませんが、個人的には古い版の色合いの方が好みです。

追記:
並べてみた方が違いがはっきりしますね。左が今回紹介した古い版、右が以前に紹介した現行に近い版のカードです。


Grimaud 2