「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」より前に作成されたけれど現存しないタロットデッキを、残された手紙に記述された内容などから Robert M Place が再生しました。
オリジナル版は、ミラノ公爵のフィリッポ・マリア・ヴィスコンティ(Filippo Maria Visconti)の命により、1412年~1425年の間に作成されたと考えられています。
大アルカナ(16枚)には、ギリシャ・ローマ神話の神々が描かれています。小アルカナは、鷲、フェニックス、コキジバト、鳩をシンボルとする4つのスートで構成され、それぞれ10枚の数札と女王と王が揃っています。併せて64枚のセットになります。
追記:
大アルカナに描かれた神々は以下のとおりです。
№ |
名称 |
カタカナ表記 |
I |
Giove |
ユピテル |
II |
Giunone |
ユーノー(ユノー) |
III |
Pallas |
パラス(アテナの別名) |
IV |
Venus |
ウェヌス(ヴィーナス) |
V |
Appolo |
アポローン(アポロン、アポロ) |
VI |
Nettuno |
ネプトゥーヌス(ネプチューン) |
VII |
Diana |
ディアーナ(ディアナ、ダイアナ) |
VIII |
Bacco |
バッコス(バッカス) |
IX |
Mercurio |
メルクリウス(マーキュリー) |
X |
Marte |
マールス(マルス) |
XI |
Vesta |
ウェスタ |
XII |
Ceres |
ケーレス(ケレス) |
XIII |
Ercole |
ヘーラクレース(ヘラクレス) |
XIV |
Eolo |
アイオロス |
XV |
Daphne |
ダプネー(ダフネ) |
XVI |
Cupido |
クピードー(クピド、キューピッド) |
追記2:
Robert M Place によって再生されたタロットデッキは、かなりポップな感じに仕上がってます。これはこれで気に入っているのですが、実際のオリジナル版は「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」やドイツのプレイングカード「Ambraser Hofjagdspiel」のように、もう少し厳かな感じであったと思われます。また、おそらくカードのサイズももう少し大きかったでしょう。
追記3:
1425年は、フィリッポ・マリア・ヴィスコンティの娘、ビアンカ・マリア・ヴィスコンティ(Bianca Maria Visconti)が誕生した年です。オリジナル版は、彼女の誕生を祝う品々の一つであったと考えられます。