Feine Adler-Cego Nr.99

1950年頃にドイツのカードメーカー ASS によって発行された「Adler-Cego」と呼ばれるゲーム用タロットの一つです。

動物タロットの一種ではありますが、18世紀にドイツで誕生した動物タロットの仲間というよりは、「Industrie und Glück」の変種、あるいは両者のハイブリッドであると考えた方がよい気がします。
大アルカナ22枚、小アルカナがコートカード16枚、数札16枚の計54枚という構成となっています。また、双頭スタイルですが、愚者以外の大アルカナの札では上下で描かれている内容が異なっています。大アルカナに記載されている数字はアラビア数字となっています。


Adler-Cego


Adler-Cego


Adler-Cego


Adler-Cego

Vandenborre Tarot Kaarten

1850年頃に作成された動物タロットの復刻版です。発行元は Vandenborre。ベルギーのカードメーカーです。

オリジナル版についての情報はほとんど得られませんでしたが、個人的には18世紀後半にコペンハーゲンの Jean Friedrich Mayer によって作成された動物タロットのリメイクではないかと推測しています。


Vandenborre


Vandenborre


Vandenborre


Vandenborre


Vandenborre


Vandenborre

追記
1800年頃にブリュッセルの P.A. Keusters によって作成された動物タロットもたいへんよく似ています。どうやら他にもそうしたデッキがいくつか作成されていたようで、ベルギー周辺での人気の高さをうかがわせます。

Die Verkehrte Welt

C. A. Müller によって1815年頃にベルリンで作成された動物タロットの復刻版です。タイトルの「Die Verkehrte Welt」を直訳すると、「間違った世界」。様々な動物が、人間のような姿でとてもユーモラスに描かれています。


Verkehrte Welt


Verkehrte Welt


Verkehrte Welt


Verkehrte Welt

他の動物タロットと同様に、小アルカナはフランス式スートで構成され、それぞれ1~10の数札と4枚のコートカード(ネイヴ、ナイト、女王、王)が揃っています。このデッキでは、コートカードは双頭スタイルで描かれています。


Verkehrte Welt


Verkehrte Welt

Russisches Tiertarock

オーストリアのカードメーカー Piatnik によって発行されている動物タロットの復刻版です。

オリジナル版についての情報は多くありませんが、1805年にニュルンベルクの Johann Matheus Backofen によって作成されたものだと考えられています。現存する初期のカードにロシアの税スタンプが押されているため、「ロシアの動物タロット」と名付けられたようです。


Piatnik2868


Piatnik2868


Piatnik2868


Piatnik2868

ドイツで誕生した動物タロット(ドイツ語:Tiertarock)は、ベルギーからロシアまで北ヨーロッパで普及して、タロットデッキのサブジャンルを形成しています。

追記
1780年にミュンヘンの Andreas Benedikt Göbl によって作成された動物タロットもかなり雰囲気が似ていて、このデッキのオリジナル版と混同されることもあるみたいです。

Das La Fontaine-Tarock

Peter Friedrich Ulrich によって1770年に作成されたタロットデッキの復刻版です。大アルカナは、ラ・フォンテーヌの寓話をテーマに作成されています。

フランスでコンヴェル版が作成されたのとほぼ同時期に、ドイツではこのようなゲーム用タロットが作成されていたんですね。


Fontaine


Fontaine


Fontaine


Fontaine

小アルカナはフランス式スートと呼ばれるクラブ、ハート、スペード、ダイヤをシンボルとする4つのスートで構成され、それぞれ1~10の数札と4枚のコートカード(ネイヴ、ナイト、女王、王)が揃っています。
コートカードに描かれている人物は、クラブはアフリカ、ハートはヨーロッパ、スペードはアメリカ、ダイヤはアジアをイメージしているようです。


Fontaine


Fontaine

意外かもしれませんが、タロットにフランス式スートを導入したのは、ドイツの動物タロットが最初だと考えられています。面白いですね。

追記
当ブログでは特に区別はしていませんが、ゲーム用タロットでは「アルカナ」という言葉はあまり使われないみたいです。大アルカナに相当するのが「切り札(トランプ)」となります。

追記2:
通常フランス式スートのゲーム用タロットでは、黒いスート(クラブ、スペード)の数札は数字が大きいほど強く、赤いスート(ハート、ダイヤ)の数札は数字が小さいほど強いというルールとなっています。