Taroky 165

前回に続き、こちらも「Industrie und Glück」と呼ばれるゲーム用タロットの一つです。Obchodni Tiskárny というカードメーカーが、プラハで1961年~1968年に発行していました。

全体的に前回紹介した「Kaffeehaus Tarock」とよく似た絵柄ですが、カードによっては少し異なっています。カード2(II)では、絵柄はそっくりですが、「Industrie und Glück」という碑文が削られています。


Taroky


Taroky


Taroky


Taroky

カード21(XXI)には三日月が描かれていますが、これは旧ハプスブルク君主国諸地域の北部で発行された「Industrie und Glück」に多く見られる特徴であるようです。

Kaffeehaus Tarock

Piatnik から「Kaffeehaus Tarock」の名で発行されているデッキも、「Industrie und Glück」と呼ばれるゲーム用タロットの一つです。
カードのサイズは概ね 7.4cm×12.8cmと少し大きめです。

大アルカナにはほのぼのとした農村風景が描かれていて、先に紹介した Joh. N. Hofmann によって作成されたデッキとは随分印象が異なりますが、「Industrie und Glück」と呼ばれるゲーム用タロットのほとんどはこちらのタイプです。カード2(II)に「Industrie und Glück」という碑文が描かれている点は共通しています。


Kaffeehaus


Kaffeehaus

Kaffeehaus

Kaffeehaus

追記:
上記のような農村風景が描かれるパターンは、1865年頃に確立されたようです。

Industrie und Glück

1815年にウィーンの Joh. N. Hofmann によって作成された「Industrie und Glück」と呼ばれるゲーム用タロットの復刻版です。大アルカナのカード2(II)に「Industrie und Glück」という碑文が描かれているため、そのような名で呼ばれています。発行元は Piatnik。

オーストリアやハンガリーなどの旧ハプスブルク君主国諸地域で使用されるゲーム用タロットは、大アルカナ22枚、小アルカナがコートカード16枚、数札16枚の計54枚というのが標準的な構成です。
小アルカナのスートはフランス式スートで、黒いスート(クラブ、スペード)の数札は[7、8、9、10]、赤いスート(ハート、ダイヤ)の数札は[4、3、2、1]という組み合わせになっています。赤いスートの数札では、数字が小さいほど強いというルールとなっています。


Hofmann


Hofmann


Hofmann


Hofmann


Hofmann


Hofmann

双頭スタイルなのですが、愚者以外の大アルカナの札では上下で描かれている内容が異なっています。もしかしたら、パラレルワールドなのでしょうか。(笑)
それにしても、面白い絵ですよね。神話とかをベースとしているのでしょうか。

追記
このデッキのオリジナル版は「Industrie und Glück」と呼ばれるタロットとしては最初期のもので、その後に普及したデッキとは絵柄がかなり異なっています。