Tarocchi Minchiate Al Leone

1790年頃にフィレンツェで作成されたタロットデッキの復刻版です。
「Minchiate(ミンキアーテ)」と呼ばれる種類のデッキで、カードの枚数が97枚とかなり多いです。小アルカナについてはマルセイユ系タロットなどと同じ56枚(= 14枚 × 4スート)なのですが、大アルカナは「美徳」「四元素」「黄道十二宮」といった特殊なカードが加わって41枚もあります。

半人半獣が描かれているナイトの札からは、以前に紹介した「ローゼンワルド・シート」が連想されます。
また、オリジナル版が作成された時期や地域が近いためか、「Antichi Tarocchi Bolognesi」などと共通する雰囲気をまとっているようにも感じられます。


Minchiate Al Leone


Minchiate Al Leone


Minchiate Al Leone


Minchiate Al Leone


Minchiate Al Leone

名称
2~4 大公、西の皇帝、東の皇帝(女帝、皇帝、教皇に相当。女教皇に相当するカードはありません。)
16~19 七元徳の内の4つの徳(希望、思慮、信仰、慈善)
20~23 四元素(火、水、地、風)
24~35 黄道十二宮(天秤座、乙女座、蠍座、牡羊座、山羊座、射手座、蟹座、魚座、水瓶座、獅子座、牡牛座、双子座)

Dashavatara Ganjifa

インドの伝統的なプレイングカードである「Ganjifa(ガンジファ)」には様々な種類がありますが、今回紹介する「Dashavatara Ganjifa」は、以前に紹介した「Mughal Ganjifa」に次いでポピュラーな存在だと言えるでしょう。

「Dashavatara(ダシャーヴァターラ)」は、ヒンドゥー教の主神の一であるヴィシュヌの10の主要アバターを指します。
「Dashavatara Ganjifa」は、10のスートで構成され、それぞれ1~10の数札と2枚のコートカードが揃っているのですが、このコートカードに「Dashavatara」が描かれているのです。


Dashavatara


Dashavatara


Dashavatara


Dashavatara


Dashavatara

ヴィシュヌの10の主要アバターは、通常以下のとおりです。

名称
1 マツシャ(魚)
2 クールマ(亀)
3 ヴァラーハ(猪)
4 ナラシンハ(人獅子)
5 ヴァーマナ(矮人)
6 パラシュラーマ(賢者)
7 ラーマ(王子)
8 クリシュナ
9 ブッダ(覚者)
10 カルキ(カリ・ユガの最後に出現するとされる)

ただし、地域によって一部が別のアバターに入れ替わっていたり、追加されていたりすることもあります。
今回紹介するデッキはオリッサ州で作成されたものであるらしく、「クリシュナ」と「ブッダ」が、「バララーマ」と「ジャガンナート」に入れ替わっています。

上記の画像では、1段目左から「マツシャ/魚」、「クールマ/亀」、「ヴァラーハ/貝殻」、2段目左から「ナラシンハ/チャクラ(装飾されたディスク)」、「ヴァーマナ/瓶」、3段目左から「パラシュラーマ/斧」、「ラーマ/弓と矢」、「バララーマ/棍棒」、4段目左から「ジャガンナート/ハスの花」、「カルキ/剣」の順に並べています。

1段目と2番目のスートは「Kambar suits」(数札は数字が大きいほど強い)、3段目と4番目のスートは「Bishbar suits」(数札は数字が小さいほど強い)となります。

Ganjapa

「Ganjapa」と呼ばれるインドのオリッサ州(英語: Odisha、旧名称の英語: Orissa)の伝統的なプレイングカードです。
前回紹介した「Mughal Ganjifa」の一種ではあるのですが、オリッサ州ではインドの他の地域とはかなり異なる発展を遂げました。

基本的にはスートの種類やカードの枚数は変わりませんが、コートカードの大臣は叙事詩『マハーバーラタ』(Mahābhārata)の英雄アルジュナ(Arjuna)、王はクリシュナ(Krishna)の化身で9種の動物からなる生き物 Navagunjara に置き換えられています。


Ganjapa


Ganjapa


Ganjapa


Ganjapa

上記の画像では上段左から「金貨」、「手形」、「布」、「ハープ」、下段左から「銀貨」、「クラウン」、「奴隷」、「剣」の順に並べています。

追記:
「Ganjapa」だけでなく、他の地域の「Mughal Ganjifa」についても言えることですが、スートの数が8ではなく、10や12などのデッキも存在するようです。その場合も、各スートが1~10の数札と2枚のコートカードで成り立っている点は変わりません。