天正かるた

『銀花』という季刊誌(第百二十四号)の綴じ込み付録として提供された「天正かるた」の復刻版です。カードのサイズは概ね 4.2cm× 8.1cmと小振りですが、これでも原寸の 1.5倍だということです。

「天正かるた」は、「ドラゴンカード」と呼ばれる16世紀のポルトガルのカードを元に作成された日本最古のカルタです。現存するカードは1枚のみですが、版木が残っているため復刻が可能であったようです。


天正かるた


天正かるた


天正かるた


天正かるた


天正かるた

オリジナル版は、パウ(棍棒)、コッフ(聖杯)、イス(剣)、オウル(貨幣)をシンボルとする4つのスートで構成され、それぞれ1~9の数札と3枚のコートカード(女従者、騎士、王)が揃っています。この復刻版では、各スートの10の数札と道化札2枚が創作して加えられています。

Peter Flötner

Peter Flötner によって、1540年にニュルンベルクで作成されたプレイングカードの復刻版です。嬉しいことに、The Historic Games Shop で手頃な価格で提供されています。カードのサイズは概ね 5.7cm× 9cmと小振りです。

後にドイツ式スートと呼ばれることになる、ドングリ、ハート、木の葉、鈴をシンボルとする4つのスートで構成され、それぞれ2~10の数札(10は旗)と3枚のコートカード(下官、上官、王)が揃っています。2の数札は daus (deuce) と呼ばれ、それまでのエースと2の数札が統合されたような存在であるようです。


Flötner


Flötner


Flötner


Flötner

少し下品なシーンも含まれるユーモラスな絵の中には、風刺や皮肉といった要素も隠されているように思われます。

追記:
ドイツのプレイングカードでは、このデッキのように数札に絵が描かれることが珍しくありません。タロットでは1491年頃に作成された「ソラ・ブスカのタロット」が最初であると考えられていますが、それ以前にもそうしたデッキが存在します。

Rosenwald style cards

「ローゼンワルド・シート」と呼ばれる未裁断のシート(ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリー所蔵)を元に復元されたタロットデッキです。作成者は Lady Heather Hall。カードのサイズは概ね 5cm× 8.7cmと小振りです。

オリジナル版は「ブダペスト・タロット」と同じく1500年頃に作成されたと考えられています。


Rosenwald


Rosenwald


Rosenwald


Rosenwald

元となるシートには不足しているカードもあるため、ある程度は推測に基づいています。例えば、カードの枚数がマルセイユ版タロットなどと同じ78枚であったかも定かではありません。ミンキアーテのようにもっと枚数が多かった可能性もあります。

追記:
彩色されていないため随分印象は異なりますが、Tarot Sheet Revival による復刻版も発行されています。こちらはフルデッキで82枚の構成となっています。

Tarot de Bvdapest

「ブダペスト・タロット」と呼ばれる木版タロットです。ブダペストの美術館などに保管されている未裁断のシートを元に、Tarot Sheet Revival によって復元されました。

オリジナル版は1500年頃(15世紀後半から16世紀初頭)に、イタリアのベネチアあるいはフェラーラで作成されたものと考えられています。


Bvdapest


Bvdapest


Bvdapest

この復刻版では、赤と黄がとても印象的ですね。

「貧者の聖書」(Biblia Pauperum)と同様に、庶民向けの安価な木版画で作成されたこの作品には、手書きの豪華な作品である「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」などとはまた違った魅力があります。

追記:
大アルカナの各カードに割り振られた番号は、マルセイユ版タロットやウェイト版タロットとは少し異なっています。

Bvdapest