Les Tarots du Destin

詳細は分かりませんが、外箱やタロットの裏絵に有翼のスフィンクスが描かれたこのデッキは、1940-50年頃にパリで発行されたものだということです。


Destin


Destin


Destin

パリで発行されたとしても、愚者が蝶を追いかけている等の特徴から、双頭スタイルのピエモンテ系タロットであると言ってよいでしょう。

また、78枚のカード全てにアラビア数字とローマ数字で連番が振られています。これについては、「エッティラ版」の影響であるように思われますが、どうでしょうか?

Tarocchi Piemontesi c.1904 Armanino Genova

ピエモンテ系タロットは、1860年代以降は双頭スタイルが主流となってきます。

タロットの持つ象徴的な面をいくぶん損なっても、上下を気にしないで済むという利便性の方が勝ったということなんでしょうか?
例えばカード21「Il Mondo:世界」を見ると、本来表示されるべき「四つの生き物」の内、天使と鷲しか表示されてないです。


Geniva


Geniva


Geniva

双頭スタイルのピエモンテ系タロットに共通する特徴として、次のような点が挙げられます。

・愚者のカードで、愚者が蝶を追いかけている。
・杯のエースで、杯に花が生けられている。

いずれもこれまでに紹介した単頭スタイルのピエモンテ系タロットには見られなかった特徴です。

ただし、私はまだ保有していませんが、単頭スタイルのピエモンテ系タロットの中には、上記の特徴を備えたデッキも一部存在します。
おそらくは、そうしたデッキが双頭スタイルのピエモンテ系タロットのベースとなったのでしょう。

追記:
双頭スタイルと呼ばれるデッキにおいても、数札については単頭スタイルのデッキと変わりません。
カードの上部を反転させて下部ににつなぎ合わせるという改修は、大アルカナと小アルカナの宮廷カードにのみ施されています。

追記2:
双頭スタイルのピエモンテ系タロットのベースとなったのは、Vergnano のタロット(1830年頃)であると推測されます。

Tarocchi Piemontesi MIDY

こちらは MIDY という製薬会社のノベルティとして1963年に配布されたタロットで、なんと18.5㎝×36㎝という大きさです!

ベースとなっているのは、1800年代初期にミラノで発行された単頭スタイルのピエモンテ系タロットで、Tarocchino Milanese と呼ばれることもあるようです。

 

 

 

 

先に紹介したピエモンテ系タロットがマルセイユ版タロット「タイプ II 」に準じていたのに対して、「タイプ I」の特徴を有しています。でも。愚者に絡んでいるのは犬ですね。

追記:
ベースになったのは Teodoro Dotti によって発行されたデッキのようです。

追記2:
ミラノはロンバルディア州の州都です。(ピエモンテ州の州都はトリノ)
ここではピエモンテ系タロットという分類に含めていますが、ロンバルディのタロットとして分類されることもあります。
また、ミラノ版タロットと言った場合には、古典的なタロットである「ヴィスコンティ版」を意味することが多いみたいです。

追記3:
ミラノで「Tarocchini(tarocchino の複数形)」というゲームをするのに使用されたため、「Tarocchino Milanese」と呼ばれたみたいです。
「Tarocchini」はボローニャ地域で人気のトリックテイキングゲームで、ボローニャ系タロットのカードが62枚に減少していることとも関係ありそうです。